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4−1−2ペーパーレスシステム(電子申請)の事例

 

特許庁では、業務の効率化、申請の審査期間の短縮化を目的に、ペーパーレスシステムを導入している。その中では一部でCALSの標準技術を適用するなど、先進的な取り組みが行われている。CALSの導入の方向性を示した事例と考えることができる。

 

特許庁において処理される文書は膨大である。その上、システム導入以前にはそれらの処理は手作業により行われていたため、職員の稼動はひっ迫していた。又、処理の遅れによる申請期間の長期化については海外からも強い改善の要請がきていた。

このような状況を改善するためにペーパーレスシステムが導入されることになったが、その目的は主に次の4点であった。

・電子化による事務処理の効率化

・特許(工業所有権)の審査期間の長期化防止

・国際的な工業所有権情報交換等の協力の推進

・工業所有権情報サービスの拡充

同システムにおいては、基本的には特許出願に関わる全てのプロセスを対象としている。業務内容は大きく、出願、審査、公告、登録に分けられる。出願に関してはデータエントリーシステム、審査・公告・登録に関しては特許庁業務システムにおいて対応するものとしている。又、広報についてはSGMLを採用し、CD−ROMによって提供している。

システムの導入効果としては以下のようなことがあげられる。事務処理の効率化の実現により、サービスの改善が図られるとともに、将来的なシステムの拡張性も整備されている。

・審査業務における事務処理の効率化の実現

・民間のデータベース閲覧/検索の利用の実用化

・審査期間の長期化防止(7年から3年まで短縮できた事例も存在)

・将来的なシステムの拡張性の整備

 

この事例は、業務の効率化を当初の目的としていたが、広報用のCD−ROMにCALS標準であるSGMLを採用するといった新しい試みを行っている。このような積極的な国際標準の採用は、将来のシステムの発展を期待させるものである。

 

 

 

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